投資って、やっているのは“お金に余裕のある人”だけだと思っていました。
実際、数年前、しっかり者の同僚が「つみたてNISAを始めたよ」と話してくれたとき、
「うちは住宅ローンもあるし、シングルマザーだし、そんな余裕はないな…」
そう思ってスルーしていたのを覚えています。
調べてみたこともありますが、その頃は特定の銀行しか対応していなかったため、
新しく口座を開くことに気が進まず、結局そのままにしていました。
そんなわたしの背中を押してくれたのは、
ある日書店で出会った横山光昭さんの『3000円投資生活』という本。
「え? 3000円なら、失敗しても知れてるし…」
そんな気持ちが、わたしを動かしました。
とはいえ、本に出てくる事例は月々もっと積み立てている人ばかりで、
当時は住宅ローンに加えて、娘の私立の学校の教育費も嵩む時期、正直「こんなふうになれるのかな?」と半信半疑。
でも、あれから5年。つみたてNISAを続けながら、今では高配当株にも取り組むようになり、
新NISAへの移行も、制度を理解した上でスムーズに進めることができました。
「もっと早く始めていたら…」と思わないわけではありません。
でも、40代で始めたからこそ、“身の丈に合った投資のしかた”が身についたと思っています。
この記事では、そんなわたしのつみたてNISAとの出会いと、
いま続けているやり方について、お話していきます。
1. なんとかなってるけど、このままでいいのかな?
├ 公務員の安定はあるけれど、余裕があるとは言えなかった
├ 住宅ローンと教育費で手いっぱい
├ 老後や進学への漠然とした不安
└ 節約も副業も現実的じゃない。でも趣味にはお金を使いたい
2. 背中を押したのは、一冊の本だった
├ 書店で出会った『3000円投資生活』
├ 3000円というハードルの低さ
├ 今ならこの本が「入り口」でちょうどよかったと思う
└ 事例は積立額の大きい人ばかりで不安もあった
3. あれから5年──続けて変わったこと
├ 高配当株にもチャレンジ
├ 新NISAも落ち着いてスタートできた
└ 投資リテラシーが自然と身についた
4. 今のわたしの積立スタイル
├ 長期・分散・低コストを意識
├ 無理のない金額で自動化
└ 商品の選び方と、わたしなりの伝え方
5. まとめ|3000円からでも、始めてよかった
├ 「もっと早く始めていれば」と思わないわけではないけれど
├ お金のことで“焦らなくなった”のが一番の変化
└ 今では、娘も一緒に積み立てています
なんとかなってるけど、このままでいいのかな?
公務員の安定はあるけれど、余裕があるとは言えなかった
毎月決まったお給料が入ってくる。
ボーナスも、少なくとも年に2回はある。
だから「お金に困ってるわけじゃない」と自分では思っていました。
でも、じゃあ“余裕があったか”というと、正直そうでもなかったんです。
習慣的に天引きで貯金はしていたものの、
あとは生活費や交際費、娘のこと、趣味、旅行……
入ってきた分だけ、なんとなく使い切っていたような感覚でした。
「安定している=安心できる」と思い込みながら、
心のどこかでは「本当にこれで大丈夫?」という気持ちを抱えていたのかもしれません。
住宅ローンと娘の教育費で手いっぱい
生活の中で一番大きかったのは、やはり住宅ローンの返済。
そしてもうひとつは、娘の教育費です。
私立の一貫校に通っていたため、
学費や教材費、制服や交通費、塾や模試……
教育に関する出費は、毎月けっこうな金額でした。
「自分のための投資なんて、あとまわし」
そう思ってしまうくらい、娘の将来を優先する気持ちが大きかったし、
実際に“今をまわすので精一杯”というのが現実でした。
「老後」「進学費用」「働き続ける未来」への漠然とした不安
今すぐどうにかなるわけじゃないけれど、
将来のことを考えはじめると、ふとよぎる不安がありました。
「老後って、退職金だけで足りるのかな」
「娘の大学費用、ちゃんと準備しておかないと」
「何歳まで働き続けることになるんだろう……」
どれも明確な答えはないけれど、
“なんとなく不安”というだけで、心はけっこう疲れるものです。
そしてわたしは、そういった不安を、
「まだ先のことだし」「なんとかなるでしょ」と流し続けていたように思います。
節約も副業も現実的じゃない。でも趣味にはお金を使いたい
もちろん「お金を増やす方法」について考えたことはあります。
でも、毎日忙しくて、細かく家計を見直す余裕もないし、
残業をして収入を増やすような働き方でもない。
転職や副業も、そもそもエネルギーが足りない。
そして何より、「仕事を気持ちよく続けるために、趣味にはお金を使いたい」
そう思っていました。
だから、無理な節約やストイックな我慢を強いるやり方は、
どこかで「わたしには続かないな」と思っていたんです。
お金とのつきあい方に「正解」はないかもしれない。
でも、今より少しだけ“安心できる形”があるなら、見つけてみたかった。
そんな気持ちが、投資への一歩につながっていったのかもしれません。
そんなわたしの背中を押したのは、一冊の本だった
本屋で見つけた「3000円投資生活」
そんなふうに、なんとなく不安を抱えながらも、
「まぁ、なんとかなるでしょ」とやり過ごしていたある日。
大好きな書店で、ふと目に入った一冊の本がありました。
横山光昭さんの『3000円投資生活』という本です。
…
「3000円なら…」と思えたハードルの低さ
「え? 3000円? そんな少額からでも、投資って始められるの?」
驚いたのと同時に、なぜかすごく現実味を感じて、
その場でパラパラと中をめくって、レジに向かっていました。
…
今ならわかる、この本は「入り口」としてちょうどよかった
この本自体は2017年の出版で、制度や情報の新しさという意味では、
今の読者にそのままおすすめできる内容とは少し違うかもしれません。
でも当時のわたしにとっては、
「少額からでもはじめていいんだ」と思える、貴重な“きっかけ”でした。
…
ただ、事例は“もっと積み立てている人ばかり”で不安もあった
本を読んで、「少額からでもいいんだ」と思えたことは、
わたしにとって大きな一歩でした。
でもその一方で、出てくる実例の多くは、
「月に数万円以上積み立てている人」や「すでに相当な資産を形成しつつある人」など、
かなりしっかり資金を確保している人たちばかり。
当時のわたしは、娘の教育費と住宅ローンの支払いで、毎月のやりくりだけで精一杯。
「やっぱり3000円は“入口”に過ぎなくて、資産形成なんて遠い話なのかな……」
「この人たちのようになれる日は来るんだろうか?」
そんな不安も、正直ありました。
それでも、「まずは小さく始めてみよう」と思えたのは、
失敗してもリスクが小さい金額だったからこそ。
“完璧なスタート”じゃなくてもいい。
とにかく「一歩踏み出すこと」に意味がある、と思えたことが大きかったです。
あれから5年──続けてみて変わったこと
つみたてNISAだけでなく、高配当株にもチャレンジ
最初はつみたてNISAだけを、月3000円の少額からスタートしました。
それが少しずつ「これなら続けられそう」「もう少し増やしてみようかな」と思えるようになって、
数年かけて、徐々に積立額を増やしていきました。
投資に対する“こわさ”がなくなってきたころ、
高配当株にも興味が湧くようになり、少しずつ勉強して購入するように。
ほんとうに、ほんとうに少額からのスタートでしたが、
今では“セクター”を意識しながら銘柄を選ぶ楽しさも感じられるようになってきました。
投資って「お金を増やすための手段」というより、
「お金と向き合う時間がちょっと好きになる」そんな感覚に近いかもしれません。
少しずつ知識が増え、選ぶ視点が変わっていくことで、
わたし自身の“お金とのつきあい方”にも変化が出てきたように思います。
新NISAへの移行も、焦らず制度を理解して始められた
2024年から新NISAがスタートすると聞いたとき、
「また制度が変わるの?よくわからない…」と不安になる人も多かったと思います。
でもわたしは、つみたてNISAを少額でも継続していたおかげで、
「投資って、ちゃんと調べれば理解できるもの」という感覚がすでにありました。
新制度についても、金融庁の資料やわかりやすい情報発信をしている人の解説を見ながら、
自分なりにポイントを整理して、焦ることなくスタートを切ることができました。
「一度やってみた経験がある」
それだけで、制度の変化にも柔軟に対応できるんだと実感しました。
投資リテラシーは「やってみる」ことでしか身につかなかった
もしも20代や30代から投資を始めていたら、
もっとラクに成果が出ていたのかもしれません。
でもわたしは、40代からでも十分に間に合うと今は思っています。
なぜなら、積立を続けることで自然と「知る力」が身についていったから。
「どんな商品を選べばいいのか」「リスクとどう向き合えばいいのか」
そういった基本的な感覚が、少しずつ自分の中に育っていくのを感じています。
毎月コツコツ続けてきたおかげで、
投資は特別なものではなく、「日常の中の選択肢」になってきました。
“遅かった”ではなく、“始めたことが何よりの財産”。
そう思えるようになったこと自体が、わたしにとって大きな変化です。
今のわたしの積立スタイル
長期・分散・低コストを意識した選び方
つみたてNISAを始めたころの私は、
何をどう選べばいいか、本当に手探り状態でした。
最初は『3000円投資生活』で紹介されていた投資信託を購入してみて、
さらに比較のために別の商品も選びつつ、「これでいいのかな?」という不安もありました。
でもその後、少しずつ勉強していく中で、
「手数料の低さ」や「分散投資されていること」「長期で持ち続けられること」が
初心者にとってすごく大切なんだと気づきました。
「同じような中身なら、なるべくムダな手数料を払わなくていいものを選びたい」
それが、わたしが投資を学んでいく中で自然に持つようになった考え方です。
その結果、今は楽天証券で
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) と
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
この2つに絞って積み立てています。
どちらもネット証券で買える「eMAXIS Slim」シリーズで、
信託報酬(手数料)が非常に低く、分散投資にも優れているのが特長です。
米国に集中して投資したいならS&P500、
世界全体にバランスよく投資したいならオール・カントリー。
ちなみに、“全世界株式”といっても実際にはアメリカ株の割合がかなり大きく、
運用比率では約6割をアメリカが占めている時期もあります。
つまり、両方を選んだとしても、結果的に「アメリカ株に多く投資する」ことにはなるのです。
それでも、どちらを選んでも「王道」と言われるだけの理由があると感じています。
長く続ける前提のつみたてNISAだからこそ、
この“わずかな手数料の差”や“構成の違い”が、のちのち大きな差になってくる。
そう思って、今はこの2つに落ち着きました。
無理なく続けられる金額で、手間をかけずに自動化
金額については、はじめから無理をしませんでした。
最初は『3000円投資生活』に倣って、月3000円からスタート。
「これなら失敗しても大丈夫」と思える金額だったのが、始められた理由のひとつです。
その後、少しずつ生活の中で見直しながら、
無理のない範囲で積立額を増やしていきました。
わたしにとっては、「仕組みで続けられること」がなにより大事。
楽天証券で積立設定をしておけば、あとは自動で積み立てられるので、
“気がついたら続いていた”という状態をつくることができます。
日々の忙しさの中でも、負担なくコツコツ積み上がっていく感じが、
この仕組みの一番の魅力だと感じています。
まとめ|3000円からでも、始めてよかった
「もっと早く始めていれば」と思わないわけではないけれど
もしも20代、30代のうちに始めていれば、
もっと早く結果が出たかもしれない——
そう思うことが、まったくないわけではありません。
でも、それでも「やってみてよかった」と今は心から思えます。
40代からのスタートでも、ちゃんと「投資ってこういうものか」が見えてきて、
少しずつ、自分の中に“判断できる力”が育っていくのを実感しています。
だからこそ、今のわたしにとって一番大事なのは、
「遅いかどうか」ではなく、「やってみたこと」だと感じています。
お金のことで“焦らなくなった”のが一番の変化
投資を始めたことで、収入が劇的に増えたわけではありません。
でも、お金に対する考え方や向き合い方が、確実に変わりました。
毎月少しずつ積み立てていることで、
「なにかあっても、すぐには困らない気がする」
という、ちょっとした安心感が得られるようになったのです。
以前は、老後や教育費など、“先のこと”を考えるだけで不安ばかりでしたが、
今は「手を打っているから、焦らなくていい」と思えるようになりました。
この“気持ちの余裕”こそが、投資を始めて得られた、いちばんの財産かもしれません。
今では、娘も一緒に積み立てています
最近では、大学生になった娘も楽天証券で口座を開設し、
バイト代から毎月2万円ずつ、コツコツ積み立てています。
「最初からそれくらいやれてたら、わたしもっとラクだったのに〜」なんて言いつつ、
でも、娘と一緒に投資の話ができることに、ちょっとした喜びを感じています。
あのとき、本を手にとってみたこと。
不安を抱えながらも、小さく始めてみたこと。
それが、わたし自身の人生だけでなく、娘の未来にもつながっているかもしれない——
そう思える今が、なにより嬉しいです。
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